Energy and Crystals

鉱石とエナジーワークと神智学と、生きること。

差別を無くすための差別?

多様性を実現するというのは、最近よくあるメッセージ。実際にそのための活動や発信は常々行われていて、法律の改正などにも反映されている。

私は決して「保守的」な人間のつもりは無い。物心ついた時から・・いや、思春期あたりから、多様性を許さない社会の風潮などに反感や嫌悪感を感じて、若い頃はマイノリティ的な立場の人々を取り上げるエピソードを、小説に書いたりもしていた。

けれど、ここ最近何か引っかかる、といつも感じるのが、ハリウッド映画やアメリカのドラマで実際のパーセンテージはそんなんじゃないでしょう!というくらいに、多様性を強調するような設定や展開を多く見かけて、何事も「やる時は徹底的に」という姿勢なのかな.. とまあ受け止めていた。

 

ディスニーの実写版「リトルマーメイド」のアリエルに、特に中国社会が反発を抱いたと報じられた件も記憶に新しく。個人的には人魚姫が黒い肌であっても違和感は無い... けれど、先日たまたま知った、ブロードウェイで歴史的終幕となった名作『オペラ座の怪人』(大好きでブロードウェイとロンドンで計3度観た)のクリスティーヌが、黒人の女優さんだった事には少し驚いてしまって、設定がそもそもフランス人では無かったか? 。。と。少し不自然さは感じてしまった。

本当の平等ってなんだろう。

ディズニー社は、「Reimagine Tomorrow」のスローガンのもと、「公平に代表されていない集団」から、全体の半数のキャストを選ぶと発表しているそうだ。それから最近ニュースで見かけたアメリカの最高裁判所が、大学におけるマイノリティーの学生優遇措置は「憲法違反」であると判決を下したという話。

1960年代から、黒人学生は入学選考において優遇されるという措置が取られて来たらしい。こういう件を「アファーマティブアクション差別是正措置)」と呼ぶらしい。・・何というか、とても欧米的な方法だなと感じた。

同じ実力の人が差別されずに同じ扱いを受ける・・差別撤廃は、そのくらいでいいのではと考えてしまう。そういう意見も方々、あるらしい。けれどそんな生ぬるさでは、社会のバランスは変えられないのだ・・ということかもしれない。

ディズニーのアニメで好きなのは「ヘラクレス」や「ポカホンタス」「ノートルダムの鐘」など。ギリシャ人のヘラクレスをアジア人が、ネイティブアメリカンポカホンタスを白人が、ジプシーであるノートルダムのヒロイン・エスメラルダをそうは見えない俳優さんが演じていたら、やはり気になってしまうだろう。芸術・娯楽作品にまで、「差別是正措置」を導入しなくてはならないのだろうか、と。原作の設定を変えるようだと寧ろ不自然さが生まれるし、

あまり行きすぎると、反発も出てくる。そういう時の反動って憎しみ、八つ当たりも混じってくるから、怖い気もする。

 

人魚姫、アリエルにもともとの人種的な設定は無いだろうから、黒人の女優さんでも全然良いと想う。今回、こういった問題に終始慣れている欧米ではなく、中国の人々が強く反発を表明したという点も、理解・想像出来る。

グローバリズムの時代。そのうちに人種などなくなるくらい、地球人はミックスされていくのだろうか。それはそれでいいとも想う。しかし、多様性が普及することで、結局、文化や民族という点では、多様性を失うのかもしれない。そんなパラドックスも感じる。差別はないけれど、それぞれが、変に力むこともなく、ごく普通に、自然に、共存している。・・それでいいと思う。

社会というのは、感情が常に伴うので、中々難しいものだ。誰かの「気持ち」を気に掛けるあまり、他の誰かが蔑ろになったり、バランスを取ろうと優遇することで別のどこかに歪みが出来たり。神智学が言うように、感情という問題をうまく統御出来るようになっていくことが、世界をよくしていく為の「まずは自分から」の第一歩だろう。

 

Love and Grace